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演劇ユニット夢桟敷公演の御案内 [観劇]

拙作『カリホルニアホテル』でお世話になった演劇ユニット夢桟敷の公演(2作品)の御案内です。

「吹きだまりの唄~ホウセンカ」
 作・演出 妹尾江身子

第30回池袋演劇祭参加作品

9月7日(金)~9日(日) 池袋アートスペースサンライズホール

「平成が終わろうとしている今、あえて昭和という時代にスポットをあてた作品を書いてみた。いや、書きたかったのだ。激動の時代にこの国の片隅で懸命に生きた人々を・・・」(チラシより)



朗読劇『貨幣』
 原作 太宰治 脚本・演出 渡邉嘉子

7月24日(火) シアターX(カイ)

新宿演劇祭で好評を得た舞台が選ばれて再演が決まったそうです。

「太宰治の短編小説を朗読劇に。女性に見立てた百円紙幣が人から人の手へとさすらう中で、時代と人の心を鮮やかに浮かび上がらせます。美しい音楽と心に沁みる日本の「ことば」に出会える感動の舞台にご期待ください!」(チラシより)



↓ 『貨幣』原作に興味のある方(Kindle版・青空文庫版)


貨幣

貨幣

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版




貨幣 (青空文庫POD(大活字版))

貨幣 (青空文庫POD(大活字版))

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 青空文庫POD
  • 発売日: 2017/01/14
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)



↓ 『人間失格』や『走れメロス』だけが太宰じゃないんですねえ。面白いアンソロジーです。もちろん『貨幣』も収録。


奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)

奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫



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小説『幸福な女』 [短編]

『幸福な女』 高平 九

はしがき
 これまたあるコンテストに応募した作品です。ワイルドの有名な童話『幸福な王子』を題材にしています。怖くて不気味な作品になってしまいました。覚悟してお読みください。

あらすじ
 年末のある夜。ホームのベンチで話す2人のサラリーマン野口と山田。2人はなぜか1人の女をはさんで話している。山田は最近リストラに遭ったが、やっとのことで再就職が決まったらしい。そんな2人の話に何の反応も示さない静かな女のその正体は……。

本文

 年末のある夜ことでした。その駅の上には上弦の月があって、ホームのベンチに座った女を美しく照らしていたのでした。
 女から少し離れたベンチの端で男がスマホをいじっています。くたびれたコート、通勤用の黒い鞄。どうやら普通のサラリーマンのようです。
 階段から男がひとり降りてきました。男はベンチの女を見て立ち止まりました。そして、その奥にいる男にも気づきました。
「野口さん?」
「ああ山田さん、お久しぶりです」
 山田と呼ばれた男がベンチに座りました。山田と野口の間には女が座っています。
「ほんとお久しぶりですねえ」野口は月を見上げながら言いました。
「ちょっと事情がありまして……」と山田も月を見上げながら言いました。
「そうですか……」と言った野口を月が見下ろしていました。
 会話が途切れ気まずい雰囲気になりましたが、女は黙ってうつむいています。
「リストラされちゃって」と女の前に顔を出して突然山田が言いました。
「えっ?」驚いた野口が思わず女の後ろから顔を出しました。
「前に話したじゃないですか、気の合わない上司がいるって、ある顧客への対応でその関係が決定的になってしまって」
「それでリストラですか…ひどいなあ。一所懸命やってらしたのに。ついてないですね。」
「野口さんに警告していただいたのに、結局同じことを繰り返してしまいました。すいません」
「いや、そんな。私こそ山田さんの力になれず、すいませんでした。」
 また気まずい空気です。さすがに月もそっぽを向いて雲に隠れました。
「それで、今は……」野口が心配そうに尋ねました。
「しばらくは遊んでいましたが、今日やっと再就職先が決まりまして……」
「そりゃよかった。じゃお祝いしないと。久しぶりにどうです?」と言って野口がコップを持って酒を飲むポーズをとると、「ありがとうございます。野口さんのところや前の会社と比べたらほんとに吹けば飛ぶような零細なので、お祝いなど恐縮です」
「そんなこと言わずに……」
「そうですか?それでは少しだけ……」
 ほっとしたように月がまた顔を出しました。ほんとうに人の横顔のような月です。
「これ」とふいに野口が言いました。
「えっ?」山田が驚いて2人の間の女を見ました。
「クリスマスのあとからだから、かれこれ1週間になります」
「そうですか。1週間になりますか……」
「夏場でなくてよかった。匂いがね」
「少し匂いますかね」
「口のあたりがひどいです。でも、まあ夏じゃなくてよかった」
「そうですね」
 月が怪訝そうに2人と女を見つめました。
「最初の頃は素敵でしたよ。上品な香水が薫っていて、クリスマスらしくお茶目に三角帽子なんかかぶってて……だからね」
「はい?」
「シャルウイダンス」と野口が立ち上がって、ダンスのポーズをしました。
「えっ?」山田も思わず立ち上がりました。
「その夜はホームに誰もいなかったんですよ。かなり酒が回ってたんでしょうね。それにあの曲が……なんて言いましたっけ。映画で使ってた……えーっと、デミ・ムーアの出てた……」
「……ああ、『ゴースト』……アンチェインド・メロディですか」
「そう、それそれ。あの曲がどこからともなく流れてきて、思わず一緒に踊っていました」
「誰と?」
「だからこちらと」と野口が女を指さしますが、女は黙ったままです。
「こちらって……えーっ!こちらですか!」
「かなり重たくて途中でホームから落ちそうになりました」
「そんなことが、あったんですか」
「ええ。いい思い出です」と野口がベンチに座ります。
「思い出ねえ」と山田もベンチに座ります。
「それにしても、たった1週間でずいぶんみすぼらしくなっちゃったな」と野口。
「はあ」
「高級ブランドの服着ていたし、高価そうな指輪やネックレス着けてたんですよ。みんな誰かが持っていってしまった。それでも、さすがに裸じゃ可哀想だと思ったのか、一応代わりに安い服を着せてはありますけどね」
 野口が急に身を乗り出しました。うつむいた女の前髪が彼の頬に触れると、野口はそれをうるさそうに払って、
「昨日の夜なんか口の中をのぞき込んでる奴がいました。金歯でも探してたのかな。思わず何やってんだ!って怒鳴ってましたよ」
「ひどい」と言うと山田は手で顔をおおいます。
「でしょ……それだけじゃないんです」
 野口は周囲を気にしました。でも、2人の話を聞いていたのは月だけです。その月も今は濃い雲に隠れてしまいました。ホームの蛍光灯が1本切れかかってかちかちと鳴いています。
「ちょっとスカートめくってみてください」
「えっ?」
「人が来ない間に」
「しかし……」山田もまわりを気にしました。誰もいません。ここには誰もいません。
「ほらっ今だ。早く」
 山田があわてて女のスカートをめくって中を覗き、そしてすばやくまた元に戻します。
「ねっ。履いてないでしょ。ひどい奴がいるもんです。下着まで脱がすなんて」
「そんな……」
「最初から履いていなかったわけじゃない。ちゃんと履いていたんですよ。それが昨日の夜にはなかった。きっと悪い奴が脱がして持っていったんです。もしかしたら、もっとひどいことも……」
「やめろ!」山田は突然立ち上がって叫びました。月がびっくりして雲から顔を出し、ふたたびホームを明るく照らします。だから、山田の顔の歪みがはっきり見えます。
「すみません。やめてください。お願いですから……」
「そ、そうですね。もう止めましょう。そこまで人間を疑ってはいけない……」
「浪費家だったんです」
「えっ?」
「次から次へと高級ブランドの服やバッグを買ってきて、食事だって毎日有名な料亭やレストランで外食。……重いはずですよ。わたしのリストラで少しは収まると思ったら、今度はカードで買い物をはじめて……あげくに危ないところから借金……仕方なかったんです。わたしが我慢できなかったとかじゃない。妻自身がそういう自分をもてあまして苦しんでいた……」
「はあ…ということは、こちらは」
「紹介が遅くなりました。わたしの妻です」
「どうも、はじめまして……は、おかしいか。素敵な奥様じゃないですか。亡くなってもこんなに綺麗なんだから、生前はさぞ……ご自慢だったでしょう」
「それはもう。わたしなんか何の取り柄もありませんけど、この妻といっしょになれたことは一生の宝物でした。……だからこそ幸せにしてやれなかったのが心のこりです」
「幸せだったんじゃないですかねえ」
「……」
「奥さん、幸せだったって顔してますよ。今だってみんなに装飾品とか洋服を恵んでやって役に立ってるんじゃないかな。このわたしだって一緒に踊ってもらって嬉しかったですよ。生きてたら絶対に踊ってなんかもらえなかった。下着とられても、それ以上のことされても……いや、失礼。とにかく、そう思いますよ」
「ありがとうございます。そう言ってくださると少し気持ちが楽になります」
「それで……どうするんですか。奥さん……いくらなんでもここままじゃねえ」
「洋服だけじゃなくて妻の体も誰か持って行ってくれないですかねえ」
「そりゃ、ちょっと……ね」
 月が何かに気づきました。電車がやっと駅に近づいたようです。
「来ましたね」
「ええ……わたしもやってみようかな」
「え?何を?」
「シャルウイダンス」
「ははは。けっこう重いですよ。いや、それはよくご存知か」
「では」と言って山田は妻の脇に腕を入れて持ち上げました。そして、自分の身体を反らすようにして妻の体をその上にのせ、彼女の手をとってゆっくり踊り出しました。
「それじゃわたしがBGMを……」と言って野口が「アンチェインド・メロディ」をハミングしました。月が大笑いしてそれを見ています。切れかかったホームの蛍光灯もかちかちとリズムを刻んでいました。
 電車の近づく音とともに、心臓が早口で野口に何かを警告しています。
「山田さん……黄色い線のそっちは危ないですよ……山田さん」
 女のかしげた頭の横に山田の顔が見えました。彼は「ありがとうございました」と野口に唇の動きで告げると女の冷えた頬に接吻をしました。電車がホームに迫ってきます。
「あっ」と野口が声を上げました。そのとき山田は女もろともホームの下に消えたのでした。
 電車がブレーキ音のような金切り声とともにホームに滑り込んできて止まりました。ドアが開き、車両がためいきをつきます。誰も座っていない座席の列が楽しそうに笑っています。
 何かがホームの端でぴょこぴょことはねていました。野口が近寄ってみると、それは耳でした。
「山田さん……」と野口が声をかけると、月がバカにしたように笑いました。   
                                    おしまい

最後まで読んでいただきありがとうございます。ちょっと不気味な作品でした。ご不快でしたらごめんなさい。よろしければコメントをお願いいたします。

↓ 題材にした『幸福な王子』すごい童話ですねよ。幼い頃に読んで脳にこびりついています。


幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

  • 作者: オスカー ワイルド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/01/17
  • メディア: 文庫



↓ コントを書くのって小説の練習としてもいいかなと思います。上掲の拙作も元はコントの習作です。


別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン

別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン

  • 作者: 別役 実
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2003/11/01
  • メディア: 単行本



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小説『キツネに嫁入り』 [短編]

『キツネに嫁入り』 高平 九

はしがき
 これまたあるコンテストに応募した作品です。題材は……わかりますよね。

あらすじ
 春の朝、ホテルの部屋に白いチョウチョウが入ってきて、眠っている妻の乳首にとまる。夫はそのチョウチョウを捕まえようとするけれど逃してしまい、そのチョウチョウの姿を追い求めるようになる。やっと見つけたチョウチョウのあとをついていくと、それは白い服を着た男に変身する。夫婦は男が薦める宿に泊まることにするのだが……。

本文

 妻の乳房の上に白いチョウチョウが止まった。ベッドのシーツがはだけて、右の胸だけがさらされていたからだ。もう昼近い時刻なのだろう。窓から入る明るい春の日差しが妻の顔や胸を優しく照らしていた。
 旅先の空気を感じたくて、さっきカーテンと窓を開けた。するとベッドに戻ろうとするわたしのスキをついて一匹のチョウチョウが部屋に侵入した。チョウチョウは紅茶色の乳首を細い脚でつかみ、あまつさえ口吻をつきだして吸い出した。その所行を憎らしく思ったわたしは、手を伸ばしてチョウチョウをとらえようとした。息を殺し、はじめのうちはそろりと、そのあとは一気にチョウを襲った。が、チョウチョウは余裕でその攻撃をかわした。チョウチョウはひらひらと窓の外へ飛んでいった。わたしの掌は妻の乳房の上にむなしくあった。そのぬくもりを感じていると妻が目を覚ました。大きな瞳は眠そうだったが、すぐにてらてらと艶がかかる。どうやら勘違いをしているらしい。冷たい指がわたしの掌を包んで下の方に導いた。で、またはじまってしまった。
 二度の交わりのさなか、あのチョウチョウが入ってくることはなかった。その代わり疲れて眠ってしまうと夢の中にチョウチョウがやってきて妻の蜜を吸った。
 遅いランチをホテルのラウンジでとったあと、わたしたちは散歩に出た。
 ホテルの裏手にはハイキングコースがあった。森の中を進むと吊り橋に出る。人ひとりがやっと通れるような幅の橋で、足下に板が敷かれているものの、多くの吊り橋がそうであるように、すき間からはるか下方の川が見える。岩の間を渓流がのたうって流れている。妻はわたしの背中に身体を押しつけて若い娘のようにはしゃいだ。
 橋を渡りきって、さらに川沿いに進むと滝がある。幅の広い流れが三段に分かれて落ちている。その白い姿を背景にして頬を寄せながら自撮りをする。妻の息がわたしの顔にかかり、求められるまましばらく接吻を交わした。まわりには誰もいなかった。
 散歩のあいだ、たくさんのチョウチョウを見たが、あのチョウチョウはいなかった。
 
 翌朝、同じようにして待ったが、チョウチョウはとうとうやって来なかった。仕方なく妻の乳房に手を置いて、昨日と同じように二度交わった。その間もチョウチョウが姿を見せることはなかった。
 昼過ぎにホテルをチェックアウトして、送迎バスに乗り込んだ。バスの窓からホテルの部屋の窓を見上げたが、それらしいものは飛んでいなかった。

 バスが駅に着くと、ひどい喪失感に襲われた。
「ねえ、もう一泊しようか」
 わたしがそう言うと、妻はえっ?という顔をして、
「どこかに寄り道をしたいの?」と聞いた。
「いや、もう一度さっきのホテルに泊まらない?」
「それはどうかしら。いくら素敵なホテルでももう3日目よ」
「いやかい?」
「いやじゃないけど……仕事がね」
「もう1日だけ休めないかい?1日だけ」
「休めないこともないけど……」
 妻はわたしの目の奥を覗き込んだ。わたしがどこまで本気か見極めているのだ。
「いいわ。もう1日だけ。あなたの退職記念の旅だものね」
 話を聞いていた運転手がホテルに空室があるか問い合わせてくれた。ちょうど1部屋キャンセルが出たというので、ホテルに戻ってもう一度同じ部屋に泊まりたいと言った。フロント係は怪訝さを笑顔の下にうまく隠してルームキーを渡してくれた。
「それで、これからどうする?」部屋に入って荷物を置くと妻が言った。
 何もやることがないので、とりあえず二度交わった。
 翌朝、また同じように窓を開けると晴れた空から雨がざっと降ってきた。
「狐の嫁入りね」
 妻は雨音で目を覚ましてしまった。今日はシーツで胸を隠している。これではチョウチョウはやって来ない。雨音がゆっくりと弱まり、湿った空気の中にまた春の光があふれた。
 チョウチョウはとうとうやって来なかった。
 昼過ぎに昨日と同じ送迎バスに乗って、昨日と同じ駅に着いた。先にバスを降りた妻が振り向いて、
「よかった。また戻ろうとか言い出すんじゃなかいと思った」
「もういい。あきらめた」
「あきらめたってなんのこと?」
「いや……」
「うわーおいしそう」わたしの答えを聞かずに、妻は土産物屋の店先で湯気を立てている饅頭に目を奪われた。妻が試食を勧められ、饅頭の一切れを食べるあいだ、わたしはぼんやりと駅前の風景を見ていた。土産物屋が櫛比し、観光客が店を回って商品を漁っている。外国語も聞こえてきた。明るいピンクのジャケットを着た外国の女性たちは妻が買おうか迷っている饅頭に目をつけた。たちまち饅頭の蒸籠の周りをピンクが取り囲み、妻は爪楊枝を手にしたまま、押しのけられて戸惑っている。と、そのピンクのジャケットの後ろから突然白いチョウチョウが現れた。間違いない。あの白いチョウチョウだった。
 わたしたちの目の前を誘うように通り過ぎていく。わたしは迷わずそのあとを追った。「あなた?」まだ爪楊枝を持ったままの妻が言った。「ねえ、あなたどこにいらっしゃるの?」
 チョウチョウに目をこらしてあとを追った。妻もあとをついてくる気配を感じるが、わたしはけして振り向かなかった。
 チョウチョウは駅前を離れていく。やがてまわりに田んぼが広がる場所に出た。それでもまだポツポツと人家が見えている。さらに進むと人家が一切なくなり、広い野原の道にやってきた。背高の草が一面に茂っているので、くねくねした細い道があるだけで周囲を見渡すことはできない。無数のチョウチョウが飛び交っているのに、なぜか目の前の白いチョウチョウを見失うことがなかった。それだけはっきりした白色だったのだ。そのチョウチョウがふっと草の陰に入って見えなくなった。不安になったわたしが足早に進んで見ると、なんのことはない、チョウチョウは背の高い白い服を着た男の姿になっていた。

「ねえ、帰りましょうよ。ここは気味が悪いわ」
 翌朝、掛け布団の中に身を隠すようにして妻が言った。誰かに見られているような気がするというのだ。案内された宿の部屋は和室で、八畳の部屋に四畳の次の間がついていた。真新しい畳のにおいがして、広い縁側からガラス戸を通して裏手のせせらぎが見えた。古風な造りでありながら、すべてが新品のような不思議な部屋だ。
 昨日、白い服の男は何ごともなかったように「いい宿があるんですよ。昨日までの宿はあなたにはふさわしくない」と「わたし」に向かって言った。男は細面の顔を惜しげもなく開いて笑った。ほら何も隠していませんよという手妻師のようだ。「あなた」という言い方がなぜか妻に向けられているように感じた。
 宿につくといつの間にか男が消えて、宿の女将と名乗る女性に部屋に案内された。男とよく似た細面の美しい女将だった。
「あいにく部屋にお風呂がありませんの。その代わり名物の檜風呂にお二人で入ってください」
 その風呂は湯船も桶もすべてが真新しく、はじめて使うようにきつい檜の香りがした。妻とふたり湯船につかると、それを待っていたかのように一面に湯気が立った。見えるのは妻のぬらぬらとした裸体だけである。妻は白くて柔らかな肌をしていた。それが湯で温められて、ほんのり紅くなっている。抱き寄せて湯船の中で交わった。
 少し疲れたと言って妻が先に風呂を出た。檜の香りをかいで余韻に浸っていると、誰かが湯船に入る気配がする。
「どうです?檜風呂は?」わたしの身体に女将の白い肩が触れ、柔らかな感触が深いところを刺激した。
「え、ええ、満足しました」
「奥様だけで?」
 わたしが「はあ」と間抜けた反応をすると女将はほほほと笑いながら、私の上に豊かな身体をあずけてきた。湯船で一度、女将の部屋で二度交わった。女将はその間も終始ほほほと笑っていた。
 部屋に戻って入口の襖を開けると部屋から何かが消えた気配がした。
 窓から月あかりが入って、部屋の半分はほんのりと明るく見えた。その明かりを頼りに布団に入る。何気なく手を妻の布団に差し入れると、火照った肌が指に触れた。
「あなた……よね」妻の声がかすかにふるえていた。
「ああ。遅くなったね。のぼせてしまってね、少し涼んでいたんだ」
「えっ、そんな、だって今まで……」
 突然、妻の声が途切れた。「おだまり」とくぐもった声がする。
「どうしたんだい?」わたしが明かりを点けるために布団の上に立ち上がろうとすると、
「なんでもない……満足した?」と妻の声がした。答えに窮していると、
「お風呂。楽しかった?」と問い直してきた。
「ああ。満足したよ」
「あたしは、もう少し……ねっ」
 熱い手が伸びてきて、わたしの手を探りあてると強く引いた。布団の中の妻は裸だった。その夜の妻はいつになく激しく、わたしたちは朝まで何度も交わった。
 
「ねえ、ほんとうよ。ここは怖い」
 目覚めるとわたしの布団の中に妻の裸体があった。妻の身体は昨日と同じように柔らかかったが さすがに疲れていて抱く気にはならなかった。
「わかったよ。ただ宿を出る前にもう一度風呂に入って来よう」
「……あなた、本当よ。そうじゃないとあたし……」
「君も一緒にひとっ風呂浴びないか。そのままじゃ気持ち悪いだろう」
「いいえ。やめておく。あのお風呂も気持ちが悪いのよ」
「じゃあ……」と言って風呂場に行った。宿の中は静まりかえっていて、どこにも女将の姿がなかった。もちろん湯船につかっていても、湯気の中から女将が現れたりはしなかった。
 部屋に戻ると、妻は布団の上で浴衣を半分はだけて座っていた。ただ、先ほどの不安な様子は消えて機嫌良く笑っている。
「お前、大丈夫かい?」
「ええ。さっきはごめんなさい。はじめての宿だったから神経質になっていたんだわ。もう大丈夫……なんならもう一泊していく?」
「仕事はどうするんだよ。それにわたしも遊んでばかりはいられない。戻って再就職先でも探すとしようか」
「そう……しょうがないか」と言うと、妻は立ち上がって浴衣の紐をほどいた。春の光を浴びた裸体が現れた。「どうする?」妻の声が色っぽく湿り気を帯びる。
「いや、やめておこう。そろそろ現実(うつつ)に戻らないとな」
 妻は顔をくもらせて「そうね」と言うと、観念したように身支度をはじめた。
 宿を出るときも女将の姿はなかった。もちろん、白い服を着た背の高い男の姿もない。チョウチョウもいなかった。妻はなぜか「宿代はいらないそうよ」と断言したが、そうもいかないだろうと誰もいない玄関にそれなりの礼を紙に包んで置いておくことにした。
 宿を出ると昨日と同じ草原の中の一本道である。くねくねと何度も曲がったが迷いようもない。やがて周囲を田んぼに囲まれた道にやってきた。
「不思議な体験だったね。チョウチョウに誘われて宿に泊まるなんてね」わたしが言うと、
「ほんとね」と言って妻がふいに立ち止まった。
「どうした?」
「残念だわ。あたしあなたのこと気に入っていたのに。でも、仕方ないわね」
 妻がさびしそうに言うと視界が急にぼやけた。次に焦点が合ったとき、目の前の女は妻ではなかった。宿の女将が言った。
「あたしたちここから先には行けないのよ」妻の服を着た女将がゆっくりと後ずさる。
「妻は、妻はどうした?」
「あの人はあたしたちの国に嫁入りしたの。あたな方をここに連れてきた男がこれから亭主になる。あなたもあたしの亭主になれたのに。残念ね」
 女将はそう言うと、くるっと身を翻して獣の姿で走り去った。
 わたしは必死にあとを追ったが、やっとたどりついた小さな川の岸に礼金を入れた紙包みを見つけただけだった。

                              おしまい

読んでいただきありがとうございます。よろしければコメントをお願いします。



民話の世界 (講談社学術文庫)

民話の世界 (講談社学術文庫)

  • 作者: 松谷 みよ子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/08/12
  • メディア: 文庫



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小説『イマナリ』 [短編]

『イマナリ』 高平 九

はしがき
 この作品もあるコンテストに応募しました。『伊勢物語』63段「世心つける女」を題材にしています。

あらすじ
 清掃員の琴子はある建設会社のビルでトイレを担当していた。春から三男の光太がその建設会社の新入社員になった。ある日、琴子は今業平と噂される光太の上司原有一郎を知る。社長の御曹司でもある有一郎は、なぜか琴子を「お母さん」と呼んで慕ってくれるのだが……。

本文
 「琴ちゃんごめんね。手伝わせちゃって」
 琴子は5階の男子トイレで、隣の個室にいる常子の声を便器の中に顔を突っ込みながら聞いていた。さっきから便器のヘリの裏側の汚れを特殊なスポンジでこすっていた。水に浸かるほど頭を便器に入れないとへりの裏側をすべてを見ることはできない。でも、そうすると中が暗くなってよく見えなくなる。だから、どうしても手の感覚に頼るしかないのだが、ピンクの分厚いゴム手袋越しだとどうにももどかしく、汚れの状態がわからない。
「何言ってんの。お互い様でしょ」
 大声で答えた琴子は手袋を外し、素手で便器の裏側を磨いてみた。ヨシッこの方が汚れがとれる。琴子はひとり微笑んだ。手なんか後で洗えばいい。身体についた汚れなんか洗えばとれる。どんな汚れでも。
「ごめんね。本当に」
 気弱な常子に琴子は少し苛立った。こうやって仕事を手伝うことなんてなんでもない。でも、あの意地悪な庶務課長に汚れを指摘されたときに「誰も見ませんよ」くらい言ってやればよかったのだ。むろん琴子が課長なら「誰も見ないところをやるのがプロの掃除でしょ」と言い返すだろうが。

「琴ちゃん、ありがとう。これ飲んで」掃除の後は屋上でひと休みするのが習慣だった。ビルの屋上は高いフェンスで囲まれ、社員たちの憩いの場になっている。さすがに昼休みは遠慮したけれど、社員が通常の勤務にせいを出しているときには琴子たちも使わせてもらっていた。屋上は建築会社のビルらしくよく整備されていた。木々の植え込みや花壇などの間に遊歩道があって、たくさんの木のベンチが置かれている。琴子たちはフェンスに近く、いちばん目立たないベンチで休憩をした。フェンスの向こうには鱗雲の下に東京の舞台裏が広がっている。さらに向こうにはささやかな富士山も見える。琴子が身体をほぐしながら深呼吸をしていると、常子が缶コーヒーを持って来た。
「はい」と差し出された缶に、
「気を遣わなくていいのに、ありがとう」と言って琴子が手を伸ばす。
「熱い」琴子は缶の熱さに思わず手を引いた。缶が鈍い音を立てて転がる。
「相変わらずネコ手なんだから」常子が缶を拾ってくれながら笑った。

 琴子の手は冷たい。交際していたとき夫にもよく言われた。
 2年前、病室で琴子はすでに意識のない夫の手を握った。夫は長男の誠一が勤務する病院に大動脈解離で緊急入院していた。術後の経過も良好で、ICUから一般病棟に移され、安心して帰宅したばかりだった。看病で疲れて転寝をしていた琴子は誠一からの電話で起こされた。病室に駆けつけたときには、夫はもう意識がなかった。手を握ると夫がふいに目を開いて笑った、と琴子は思った。「お前の手は冷たいなあ」と笑ったのだと思った。そのまま夫の目の光はゆっくりと消えていった。なぜか琴子は「あのむこうで映画みたいにエンドロールが流れているのね」と思っていた。不思議に悲しい気持ちにはならなかった。それでも涙は目から漏れていた。「蛇口が壊れたんだ」と琴子は思った。
 夫の遺したものは多くなかった。財産はすべて息子たちの教育費に消えていた。そのおかけで長男の誠一は精神科の医師に、次男の純平は都庁の役人になることができた。3男の光太はまだ私立大学の2年生だった。多少の保険金は出たが、光太の学費のこともあるので琴子は清掃会社で働くことにした。もともと掃除は嫌いではない。スーパーやコンビニのレジで客や同僚に気兼ねして働くより、清掃員の方がのびのびと働けると琴子は思った。
 そしてこの春、大学を卒業した光太が偶然にも琴子が派遣されているビルを所有する平成建設に入社して、同じ職場で働くことになった。光太は優しい子だ。母親が同じビルでトイレ掃除をしているなんて恥ずかしいだろうに、どこで会っても必ずにこやかに声をかけてくる。同僚や上司に紹介するのも嫌ではないらしい。
「高井君には期待しています。本当ですよ、お母さん」
 だが、名刺を取り出したのは、さすがに原有一郎だけだった。原は光太が所属する営業2課の課長で直属の上司だった。
「実は平成建設の社長の御曹司」と光太が夕飯のときに教えてくれた。
「それなのに、少しも威張ったところがないだろ。誰にも親切で仕事もよくできて、それになんとも言えない品の良さがあるんだよなあ。会社中の女子から愛されてるし、男性社員にも信頼されてる」
「そんな完璧な人がいるのかねえ」と琴子が煎茶を注ぎながら言うと、
「まあ、欠点があるとすれば、あれかなあ」茶碗に手を伸ばした光太が「あちっ」と顔をしかめた。琴子に似てネコ手なのだ。
「なによ」
「人から聞いた話なんだけど、原さんて好きになってくれる女性には誰にでも親切にできるんだって」
「そんなの当たり前でしょ」
「いや、普通は好きでもない女性と付き合ったりしないでしょ。でも、原さんは全く興味のない女性でも、自分を好きになってくれれば愛してやるんだってさ。だから……」
「だから?」
「陰でイマナリって呼ばれてるらしい」
「イマナリ?」
「『伊勢物語』の主人公にさ。業平っているじゃない」
「そうなの」琴子は古典が苦手だった。
「その業平みたいにプレイボーイな奴を今業平っていうんだってさ」
「光源氏みたいなもの?」
「よくわかんないけど、そうなんじゃないの」

 原有一郎は光太がいないところでも琴子に「お母さん」と声をかけてくれるようになった。これには琴子の同僚たちも、そして原の同僚や部下たち、とりわけ彼のファンの女子社員たちは目を丸くして驚いていた。もちろん女子の目には嫉妬と軽蔑が混じっていた。
「実は僕マザコンでして」
 ある日、琴子が男子トイレの清掃をしていると、原有一郎が入ってきて、いつものように「お母さん」と気さくに話しかけてきた。
「早くに母を亡くしましてね。母は祖母や小姑にいじめられて、よく実家に帰っていました。祖母が私を離さなかったので、幼い私はいつも父の家に置き去りです。父も私も母を愛してましたから、とてもつらかったです」
 有一郎は問わず語りにそんな話をした。たまたま常子が孫の出産で休んでいて、琴子は1人だった。有一郎は手を洗いながら鏡越しに話していた。
「だから、高井君のお母さんと母を重ねてしまうんでしょうね」
 鏡の中の有一郎の顔がさびしそうに笑った。琴子はその時、有一郎を背中から抱きしめてやりたい衝動にかられた。たぶん彼は「お母さんは手が冷たいんですね」と言うだろう。でも、そうはしなかった。手には分厚いピンクのゴム手袋があり、その中にはまだ濡れたブラシが握られていたからだ。

「昨夜ね、夢を見たの」缶コーヒーを飲みながら、常子が琴子にそう話しかけた。
「どんな夢?」琴子は気のない相槌を打った。
「それがさあ、男の人の夢だったのよ」と常子が目を瞬かせた。厚化粧の白粉の壁が崩壊をはじめている。琴子は思わず自分の目尻を抑えながら、
「その話エッチな方に進む?なら私パスね」と言った。こんな綺麗な秋晴れを老女の脂ぎった夢の話で汚されたくはない。
「やあねえ。違うよ」と常子が琴子の浅黄色の制服の肩を叩く。常子は琴子と違ってとても手が熱い。余韻が肩のあたりにじんわり残る。
「孫がね、高校の古典の授業で勉強してきたんだけど、昔の人は異性の夢を見ると、相手が自分のことを想ってるって解釈するんだって」
「へえ、そうなんだ」
 誠一がこの話を聞いたら「ばからしい」と一蹴するだろう。「フロイトもユングもいない時代にはなんでもありなんだよなあ」と。
「あの人があたしのことを想っていてくれたらなあ」と言う常子の横顔は遠くを見ていた。その視線の先には今日も小さな富士があったが、彼女の目は他のものを見ているにちがいない。
「ばかね」ぬるくなったコーヒーを確かめるように飲むと琴子は思わず言っていた。
「ばかでもいいもん。ああ、一度でいいからあの人に抱かれたい」
 琴子はうんざりした。

 琴子もその夜夢を見た。夢の主人公は原有一郎だった。原は「お母さんの手は冷たいんですね」と言った。夢の中の琴子の手は有一郎の身体の熱い部分を握っていた。すぐにそれは琴子の両手に余るほどの長さになり、伸びた先端を琴子の口に突き入れ、からだの芯を貫いた。琴子は声を上げて目を覚ました。現実の布団の上でからだの芯はまだ疼いていた。

 翌朝、琴子が男子トイレの清掃をしていると、原有一郎が入って来た。こういう時に限って常子は孫がはしかに罹ったとかで休みをとっている。
「お母さん、おはようございます」と言って、有一郎はいつものように用をたした。琴子は身体が震えるのを感じていた。昨夜の芯の疼きが戻ってくる。
「おはようございます」となんとか言葉にした琴子は、個室に逃げ込んで便器を磨くふりをした。
「光太君、博多の現場に出張中でしたね。お一人で寂しくないですか」
 まるで「私が代わりに慰めに行ってさしあげましょう」とでも言うように琴子に聞こえてきた。
「いえ……はい」
 琴子は素手で便器のヘリの裏側を強く摩っていた。人差し指と中指の指先に濃い痛みを感じる。今、自分は自身を罰しているのだと琴子は気づいた。
「すいません。大丈夫です」琴子の声はかすかだった。
「えっなんて言いました」と有一郎が大きめの声で言った。
「大丈夫です」と言う琴子の声には少し苛立ちが混じってしまう。
「お母さん、ごめんなさい。何か気に障ることを言いましたか」
 そう言いながら、有一郎が琴子に近づいてくる気配がする。
「手……」琴子は立ち上がって言った。
「はい?」有一郎は個室の前に立っている。逃げ場はどこにもない。
「手洗ったほうが」琴子は振り返って、手で自分のマスクを下ろして言った。あたし何言ってるんだろうと琴子は思う。
「血が」有一郎の顔が驚いていた。そして、彼の手が琴子の手を握った。彼の手は温かかった。
「怪我してるじゃないですか。ちょっとこっち来て」有一郎はそう言うと琴子の手を握ったまま手洗い所に引っ張って行き、傷口を洗ってハンカチで包んでくれた。私の手じゃなくてあなたの手を洗ってと琴子は思う。
「医務室に行きましょう」
「それは、できません」
 この人何を言ってるんだろう。清掃員が会社の医務室を使うなんてとんでもないと琴子は思った。
「困ったなあ。じゃあ、ここで待っててくださいね。いいですか」
 琴子は待たなかった。掃除用具の片付けもせずに、ハンカチを手洗い場に残して逃げ帰ってしまった。帰る途中でも有一郎が手を洗ったか気になって仕方がなかった。

 その夜、大阪にいる光太から電話があった。
「母さん、どうしたんだよ。line見てないのか。電話もしたんだよ」
「ごめん。ちょっと具合いが悪くてね」
 琴子は布団の中にいた。スマホは枕元にずっとあったが着信に気づかなかったらしい。
「大丈夫なのかい。課長が心配して俺のところに電話をしてくれたんだ。出血してたっていうじゃないか」
「大したことないのよ。指先をちょっと切っただけ……あのね。光太。母さんもう仕事辞めようと思うんだけど、どうかな」
「……そりゃ、俺ももう学生じゃないし、食費ぐらいなら家に入れたっていいけど……その件は兄貴たちとも相談するとして、とにかく課長に連絡してくれよ。メルアド送るからさ」
 琴子は光太が送ってくれたメールアドレスに、自分が無事であることと黙って立ち去った非礼をわびる短い文章を綴って送った、すぐに有一郎から返信があった。「心配なので夜中でもいいから電話をください」という内容だった。プライベートで使っているスマホの番号も添えられていた。琴子はどうすればいいか分からなかった。このまま放っておきたかった。仕事も辞めて有一郎の前から消えたかった。

 「あのね。母さんさ」と琴子は切り出した。電話の向こうの長男の誠一は機嫌が悪かった。琴子が誠一に電話をするのは久しぶりだ。誠一は意外にストレスに弱い。昔から人間関係のトラブルでも勉強の行き詰まりでもすぐに顔に顕れた。だからこそ精神科医を志したのだが。自分からの電話もまた彼のストレスになるだろうと琴子は感じてしまう。
 琴子は「仕事辞めようと思って」と言うつもりだったのに「夢を見たんだ」という言葉が口から飛び出し「知り合いの男の人が出てくる夢でね」と言ってしまっていた。
「辞めてくれよ。こっちは忙しいんだよ」と言って誠一は電話を切った。
 次に次男の純平の携帯にかけた。
「母さんね、男の人の夢を見たんだ。どう思う」と琴子が言うと、少しの沈黙の後「母さん、一度兄貴のところで診てもらおうか。女房の実家のお父さんも最近認知症になっちゃってさ……」
 純平は妻の実家の言いなりだった。純平だけではない。夫が遺した財産を3人の息子たちのために使い果たしたのに、誠一も純平も家を出て、それぞれ妻の実家のそばに家を建てた。どちらも病院長や役所の上司の娘だから仕方がないが、そのために自分はトイレ掃除の仕事をすることになって、原有一郎に出逢ってしまったと琴子は思った。
「あたしね、夢の中の男の人を好きになってしまったみたいなのよ」と琴子は言っていた。
「あの、あのさ。困ったな。そんな夢見るなよな。恥ずかしいよ」
 電話の奥から1歳になったばかりの孫の笑い声がする。嫁は好きではないが、孫は可愛い。純平はその子に琴子の字をとって琴音(ことね)という名前をつけた。優しいのか冷たいのか子供の頃から母親の琴子にも純平の本性がよくわからない。
「あんたはいつまでも正体が見えない子だねえ」と琴子ははじめてそう言った。
「うるせえよ。お前に俺の正体が分かってたまるか」と純平が怒鳴った。一瞬琴音の泣き声が聞こえて、電話は無音になった。
 琴子は1階の和室にいた。子供たちには2階にそれぞれ勉強部屋をもたせてやった。今も光太はその部屋を使っている。誠一と純平の部屋も昔のままだ。
 この和室で琴子は夫と長いこと過ごした。夫が好きだった時代劇の文庫本、趣味の釣りの雑誌、国語辞典、そして老眼鏡の入った黒いケース。5年経った今でも夫の気配はこの部屋に色濃く遺っていた。そして、この家にいる琴子はまだ夫のものだった。でも、琴子は寂しかった。思わず夫の愛用の枕を胸に抱きしめた。そして泣いた。声を上げて泣いた。「寂しいよう」と口に出した。「お前にはまだ光太がいるじゃないか」と夫の声が谺のように返ってきた。「光太だって直に結婚して家を出てしまう」と琴子は見えない夫に向かって訴えた。「そうしたらまた琴音みたいな可愛い孫が産まれるさ」顔を上げると長押にかけた夫の遺影が笑っている。「琴音にだってなかなか会えないんだよ。それに純平ったらあたしを『お前』なんて……」「それは母さんがひどいことを言ったからだろ。すぐに電話して謝りなさい」「わかったよ」
 亡くなった後の夫は生きている時よりずっと雄弁で優しい。琴子はスマホを手に取り、履歴から純平の名前を探した。通話ボタンに指を当てるとき、絆創膏をした人差し指と中指が目に入った。と、ちょうどそのとき玄関のチャイムが鳴った。
 インターホンの受話器を耳に当てると原有一郎の声がした。
「夜分すいません。指の方どうですか?気になったので来てしまいました」
 琴子は何も答えずに受話器を戻した。そして和室につながっている台所に行った。流し台の下には釣ってきた魚を捌くための夫の出刃包丁がある。琴子はその一本を抜くと、ゆっくり玄関に向かった。

                                 おしまい

読んでいただきありがとうございました。よろしければコメントをお願いします。

↓ 『伊勢物語』には様々な恋の形が描かれています。そして主人公業平はどんな女性の気持ちにも答える理想の男性として描かれているのです。


伊勢物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

伊勢物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 文庫




伊勢物語―付現代語訳 (角川ソフィア文庫 (SP5))

伊勢物語―付現代語訳 (角川ソフィア文庫 (SP5))

  • 作者: 石田 穣二
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 1979/11/01
  • メディア: 文庫



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小説 『ラブドラム~恋する太鼓』 [短編]

『ラブドラム~恋する太鼓』 高平 九

はしがき
 昨年あるショートショートの賞に応募した作品です。『綾の鼓』という能の作品を下書きにしています。よろしければ読んでやってください。 

あらすじ
 太鼓の名手に厳しく仕込まれた健矢は、一生恋をしないことを師匠に誓わされる。そして、師匠は「綾の太鼓」という皮の代わりに布を張った太鼓を健矢に遺した。それは師匠が恋を忘れるために叩いたという音の鳴らない太鼓だった。

本文
 健矢はその太鼓に目を凝らしました。
 稽古場の真ん中にその太鼓はおかれています。健矢が退職金を注ぎ込んで建てた広い稽古場には、さっきまでたくさんの大人や子供、つまり健矢の弟子たちが太鼓を並べて練習をした余韻が濃く残っていました。健矢はその汗の匂いと熱気が好きでした。太鼓は全身と全心で鳴らす楽器です。この一瞬のすべてを注いで打ち込まないと本当の音を返してくれません。健矢がそんな太鼓と出遭って60年が経ちました。
 健矢がはじめて太鼓の音を聞いたのは町のお祭りでした。ねじり鉢巻きに法被姿の大人や子供たちが並んで太鼓を打ち鳴らす姿に圧倒されました。でも、彼の心を本当に捉えたのは、演目の最後に老いた男が一打一打ゆっくりと鳴らした太鼓の音でした。それはまるで神の鼓動のようでした。幼い健矢に「お前はどうしてこの世界にいるのか、お前はここで何のためには生きるのか」と問いただすような音でした。一打ごとに眩みそうになりながら、健矢は歯をくいしばって耐えました。生まれて初めて何かと対決したような気分でした。そして、その時間は永遠に続くように思われました。
 翌日の夜には親に頼んで稽古場に連れていってもらいました。老人は入門を願った健矢を一瞥して「覚悟があるか」と問いました。ごく普通の習い事だと思っていた親は戸惑っていました。しかし、健矢は即座に「はい」と老人の目を見て言うことができました。老人に太鼓の教えを乞うということは、それだけの重みのあることだと、入門を決心した昨日の夜からずっと心の中で設けていたからできたことでした。
 師匠は健矢を他の弟子たちと一緒に稽古させませんでした。健矢は稽古場の隅に座って他の弟子たちの稽古をただ見ていました。そして、皆が帰った後で師匠から直々に手ほどきを受けるのです。そういうときの師匠には、他の弟子たちに見せるような好々爺と全くの別人でした。あの祭の夜のように一打一打を打って見せ、健矢にも同じことを要求します。あの夜に感じた神の恐ろしい鼓動に、健矢はひとりの孤独な少年として立ち向かうしかありません。彼の怖れや怠惰を戒めるように師匠は健矢を撥(ばち)で打ち据えました。その打擲に怯えながら健矢は命がけで太鼓を打ち続けました。もちろん、日々身体に刻みこまれる尊いアザを親に見とがめられないように気をつけながらです。
 師匠が亡くなったのは健矢がちょうど二十歳になった年でした。入門してから10年が経っていました。その間、師匠は一度たりとも彼を舞台に立たせませんでした。健矢は他の弟子たちが演奏するのをそばで見ているだけでした。彼はそれまで他の弟子たちと一緒に稽古をしたことがありません。ですから、彼らは健矢がどうしていつも稽古を見るだけなのか知りませんでした。師匠と2人だけの稽古のことは誰にも言いませんでした。口止めされた訳ではありません。ただ神聖なものが汚れる気がしたのです。
 亡くなる少し前に師匠は健矢を自室に呼びました。そんなことは10年間一度もなかったので、健矢は緊張して座っていました。
「お前は恋をしたことがあるか」師匠が言いました。
「いいえ」と答えると師匠は少し笑いました。白い口ひげに今飲んだ珈琲の滴がついています。健矢は師匠が珈琲を好むことも知らなかったのです。
「ああ……まあ、そうだろうな。恋をすると太鼓の響きが変わる」
「なぜです」と健矢は尋ねました。その問いは「なぜ恋をしたのか聞くのか」とも「なぜ恋をすると太鼓の響きが変わるのか」とも解釈できる曖昧な問いでした。しかし、師匠は満足そうに頷き、また珈琲カップを口に運びました。
「恋ごときで私の音は変わったりしません」健矢は少しむきになって言いました。「ああ、そうだな。お前は10年よく辛抱した。今ではお前の一打に圧(お)されることもある。まあ、たまにだがな」
 ここ数ヶ月、師匠の一打にはそれまで健矢を圧倒した教えが感じられなくなっていました。だから、彼は師匠に見放されたのではないかと焦っていたのです。しかし、一度圧力から解放されてみると、師匠の撥が宇宙から振り下ろされて、地球の奥深くへと抜けてゆくのがはっきりと見えます。今の師匠の一打一打はけして強くはありません。が、その一打は乾坤を貫いて、深く深く魂の奥まで届いているのでした。
「健矢よ。覚悟はあるか」
 健矢は人生二度目のこの問いに、すぐには答えられませんでした。。
「お前はまだ初心者に過ぎん。ここから果てしない修行がはじまる。私もあと何年お前の修行につきあえるか分からん。それでもやるか」
「はい」
「よし。それなら一つだけ覚えておくがいい。他に何をやってもいいが、恋だけはするな。女と寝るのもいい。結婚するのもかまわない。しかし、恋はだめだ」
「私に人としての幸せを捨てろとおっしゃるのですね」
 師匠はまた笑いました。
「人としての幸せが、恋をすることならな」

 亡くなった師匠は古くからの弟子の一人ひとりに遺品をのこしました。健矢に遺したのは大きな木箱でした。箱の蓋には「恋をしたら開けてよい。それまではけして開けてはならぬ」と師匠の手で書かれています。
 古くからの弟子たちが相談をして、師匠の太鼓の会を続けることになりました。唯一の肉親である師匠の妹さんも稽古場として家を使うことを許してくれました。それからは健矢も弟子たちと一緒に稽古をすることにしました。今まで何のために稽古場にいるのか分からなかった男が、初めて太鼓を打つ音に弟子たちは聴きました。そしてその力量に驚愕しました。健矢もまた聴いていただけの太鼓の曲を何のためらいもなく演奏できる自分に驚きました。そして、弟子たちは一瞬にして健矢が師匠の秘蔵っ子であると悟り、敬意をもって接するようになったのです。
 50年が経ちました。健矢はその間、毎夜のひとり稽古を欠かしませんでした。一打一打をゆっくりと全身と全心を込めて打ち下ろしていると、健矢の一打に師匠が応えてくれます。師匠の力強い一打が健矢を圧倒します。そして、奥深い一打が健矢に震えるような感動を与えます。師匠は確かにそこに生きていました。やがて健矢は弟子たちの指導者になりました。師匠の妹さんが稽古場として使っていた家を譲ってくれたので、健矢は役所の退職金を使って老朽化した稽古場を建て直すことにしました。
稽古場のこけら落としに来てくれた師匠の妹さんが、帰るさ稽古場の隅にある例の木箱に目を留めました。
「これは?」
「師匠が私に遺してくれた箱です。師匠は私に恋をするなと命じながら、そこには『恋をしたら開けてよい』と書いてあるんです。あきらかな矛盾ですね」
 健矢の話を聞いているのかいないのか、箱の表面を愛おしむように撫でながら師匠の妹さんが言いました。
「懐かしいわあ。この中には『綾の太鼓』が入っているのよ。ご存知?」
「いいえ。一度も開けていませんから」
「あら、一度も?」妹さんが少し笑いました。笑うと師匠と似たところがあると健矢は思いました。
「兄さんは三度この箱を開けたかしら。17歳のときでしょ、35歳のとき、それから最後は39歳のとき。私、お相手の顔も覚えていてよ」
「三度ですか」
「17歳のときは師匠の妹さん、25歳のときは私の大学時代の親友、そして39歳のときは私の亡くなった主人の姪」
「はあ」
「あら、兄のイメージが悪くなったかしら」
「いえ。それで恋とこの箱の中にある『綾の太鼓』とはどういう関係なんですか?」
「それも教えられてないのね。相変わらずいじわるね、兄さんったら。あのね。昔、卑しい男が高貴な女性に恋をしてね。そのことを知った女性が『この綾の太鼓を鳴らすことができたら、恋を叶えてもいい』と言ったのだそうよ」
「恋は叶ったんですか?」
「叶うわけないじゃない。だってさ、この太鼓は絶対に鳴らないんだもの」
「えっ?」
「『綾の太鼓』でしょ。皮じゃなくて、布が張ってあるの。鳴るはずがないでしょ」
「それで」
「卑しい男はそれでも太鼓を叩き続けて、最後は池に身を投げて怨霊になったそうよ」
「じゃ、師匠はなぜこの太鼓を……?」
「恋を忘れるために叩いたんじゃないかしら。鳴らなかったら諦めるって覚悟をして。どっちも馬鹿ね。鳴るわけないのにね」

 70歳になった健矢がそのコンビニを訪れたのは5月の日差しの強い日でした。稽古場のすぐ近くにコンビニができて、弟子の女子高校生が休日にアルバイトをするので、ぜひ一度来てほしいというのです。
 コンビニに入ると、弟子が健矢を見つけて「先生、ありがとう」と口だけ動かしました。知り合いに声をかけてはいけないと躾けられているのかもしれません。健矢が昼飯用の総菜と飲み物を買ってレジに行くと、弟子は他のお客の相手をしていて、他の子が彼のレジを担当しました。胸に研修中という札をつけているので、やはり高校生のアルバイトなのでしょうか。
「太鼓の偉い先生なんですね」
 バーコードリーダーを使いながら、その子が健矢に声をかけました。意外に低くてやや重みのある声の持ち主の顔を、彼はあらためて見つめました。背丈は健矢とほぼ同じくらいの大柄な子です。身体つきはほっそりとしていて、長い首の上に小さな顔が素直にのっています。
「あたしも習おうかなあ」と彼女は言いました、笑みを浮かべた口元の右端に小さな黒子が一つ光っていました。

 恋をしたその夜、健矢がいつものように打ち下ろした撥は、それまで一度も味わったためしのない凡庸な音を出しました。師匠の一打には及びもありませんが、最近の健矢は自分の一打がかなりの高みから振り下ろされて、深いところまで達するのを感じていました。「命果てるまで一打でもいい、師匠のもっとも平凡な一打に並ぶくらいの音を感じたい」と健矢は日々必死に太鼓に立ち向かっていました。それが、今の一打はまるで布を叩いたようです。健矢は目を閉じて瞑想しました。動揺を抑えて自分の身体と心の芯の位置を確かめるためです。そして、自分の芯が宇宙を貫く軸に重なったとイメージできるのをひたすら待ちました。長い時間をかけて待ちました。やがて、健矢はゆっくり目を開き、もう一度渾身の一打を太鼓にたたき込みました。ところが、太鼓が放ったのはさっきと同じつまらない音です。健矢は焦りました。何度試みても結果は同じでした。
 理由は明白でした。恋のせいです。昼間コンビニでほんのわずか言葉をかわしただけの10代の少女に健矢は恋をしたのです。もちろん、その時は何も感じませんでした。しかし、家に帰ってひとり昼食をとっていると、名も知らぬ彼女の笑顔と声がよみがえって、彼の心の器を満たしあふれだしました。まるで壊れた蛇口のように自分の心にあふれて止まらない恋心を健矢は呆然して眺めているしかありません。そして、彼女の口元の黒子もまた記憶の中でどんどん光を増し、たちまち一本の光の矢と化して彼の心の的をうち抜いたのです。
 健矢は一晩中撥を振り続けました。掌が灼けるように熱くなり、腫れているのが分かりました。こんなことは今までないことでした。一日中、一晩中太鼓を叩き続けられるだけの身体と心を健矢は作ってきたはずなのです。すべての力を出し尽くした健矢は、撥を握ったままでいつの間にか稽古場の床に仰向けに倒れていました。結局一度も彼らしい音は戻って来ませんでした。翌日は初めて稽古を休みにしました。翌日もその翌日もです。弟子たちが心配そうに訪ねて来ますが「病気のため休む」とだけ言って追い返してしまいます。とうとう師匠の妹さんがやって来ました。
「あんたもしかして」と健矢の顔を見るなり師匠の妹さんが言いました。
「遅い初恋はね。命とりだよ。さっ、すぐに『綾の太鼓』を打つんだよ」
 師匠の妹さんは稽古場に入るなり、健矢に例の木箱を開けさせました。
「でも、本当にいいのかい」と師匠の妹さんは言いました。
「誰に恋しているかは知らないけど、恋に生きることだってできるんだよ」
 そう言って、師匠の妹さんは健矢の目を覗き込むようにしました。師匠と本当によく似ていると健矢は思いました。
「覚悟はできています」
 健矢は師匠に伝えるつもりで決然と言い放ちました。

 そして今、「綾の太鼓」は健矢の目の前にあります。
 太鼓の木はかなり傷んで、青色の漆もほとんど剥げていました。金輪にも錆が目立ちます。ただ、皮の代わりに張られた布だけは一点のシミもなく、光沢さえ放っていました。健矢は太鼓の周囲を歩きながら、細かな部分も見逃さないように観察しました。そして、ゆっくりと一打目を振り下ろしましたとさ。

                             おしまい

 読んでいただきありがとうございました。よろしければコメントをお願いします。

↓ 能楽について書かれた名著です。


心より心に伝ふる花 (角川ソフィア文庫)

心より心に伝ふる花 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 観世 寿夫
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2008/03/25
  • メディア: 文庫



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劇団膿月 第3回公演『嘘と本当と( )。』の御案内です。 [観劇]

小笠原るつ代さん企画・脚本・演出の芝居の御案内です。

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劇団膿月(うづき)
第三回公演「嘘と本当と( )。」
企画・脚本・演出 小笠原るつ代
監修 鐘下辰男(桜美林大学准教授/演劇企画集団THE・ガジラ)

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嘘か本当か、なんてわからないから
生きるのが苦しい
それならいっそ全部ウソでいいよ
どうせ、どうでもいいんだから

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▽出演▽
菅原秋穂
橋本達
藤田寛天
柳田彩水
山口桃可
吉越友佳里
(五十音順)

◇公演期間◇
2018年7月29日(日)~8月3日 (金) 全6ステージ
全ステージ 19:00開演
※受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前

▽チケット料金▽
一般:1600円
学生:1100円
リピーター:500円
SNS割:100円引き
観劇はじめて割:0円
※当日券各回200円増し
※学生のお客様は当日受付にて学生証提示
※学生通貨ARTS使用可(1ARTS=1円)
ARTSとは…桜美林大学内の演劇施設内で施行されている芸術地域通貨です。

☆初めて割とは?☆
よりたくさんの方々に演劇を知っていただきたいという思いから、
劇場に足を運びやすくするために今回作った制度です。
演劇の舞台を初めて観劇する方に限り、観劇後アンケートにお答えいただく代わりに
初回の観劇は無料でご覧いただけます。
2回目からはリピーター料金でご案内させていただきます。
★ご予約の際は備考欄に【はじめて割】とご記入ください。

◇会場◇
桜美林大学徳望館小劇場(桜美林大学町田キャンパス内)
・JR横浜線「淵野辺」駅より無料学園バスにて約10分
・京王線/小田急線/多摩モノレール線「多摩センター」駅より無料学園バスにて約20分
・神奈中バス
「桜美林学園」下車、徒歩1分
※町田キャンパス内の案内図はリンク(https://www.obirin.ac.jp/access/machida/campus_map/index.html)をご参照ください。

▽チケット取り扱い▽
こちらのURLからご予約いただけます
https://www.quartet-online.net/ticket/uoek5v2?m=0ijghjf
      
◇メールでのご予約の場合◇
件名を「チケット予約」とし、
1.お名前
2.フリガナ
3.ご観劇日時
4.券種
5.枚数
6.ご連絡先メールアドレス
7.備考
を本文にご記入の上、【rutsuyo.koushiki@gmail.com】
こちらからの返信をもって、ご予約完了となります。

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▼お問い合わせ▼
劇団膿月 制作部
MAIL rutsuyo.koushiki@gmail.com
Twitter @rutsu_3
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劇団山本屋公演『風を切れ』の御案内 [観劇]

応援している女優、上村南美さんが出演する芝居です。

詳細はhttp://yamamotoya.tokyo/kazekire/

演劇企画ユニット 劇団山本屋 CUWT project vol.0

『風を切れ』

作・演出 :山本タク

劇場: ラゾーナ川崎プラザソル
〒212-8576 神奈川県川崎市幸区堀川町72−1
(JR川崎駅より徒歩5分)


*出演*

南出めぐみ 阿部大輝 山本鷹矢
岩佐祐樹 網代将悟 望月真富士
辛 彰慶 立花このみ 上村南美

原田ゆか 畑崎 円 北浦怜奈
小山本子 浦野和樹 関 千尋
斉藤瑞季 田中志奈 北條愛実
武田彩花 松井翔司 上山航平
齋藤拓海 播磨しげ 鈴木 諒
石田広樹 小笠原 暖

(子役)
渡邉結衣 長安彩愛


水野伽奈子 マルコ 斎藤真吾





日程:2018年7月4日(水)~ 7月8日(日)
7月4日(水)19時~
7月5日(木)19時~
7月6日(金)14時~/19時~
7月7日(土)13時~/18時~
7月8日(日)12時~/17時~
全8公演
(受付開始、開場は開演の30分前)
※上演時間二時間を予定


*チケット/全席自由席*
前売券:4,500円 当日券5,000円
学生割引チケット(高校生以下)前売券:3,800円
学生割引チケット(高校生以下)当日券4,300円
※未就学児童は入場出来ません。

ご予約:https://www.quartet-online.net/ticket/kazekire
(ご予約の際は備考欄に応援しているキャスト名をご記入下さい。)

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