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詩 「今日はなんだか」 [詩]

今日はなぜだろう道がとても狭い。
見上げた空もよそよそしい色。
放置自転車が錆びた声で歌っている。 真面目に生きてんじゃねえと。

今日はなぜだろう人がとても多い。
ネズミの街の息苦しさ。
明日を検索してみるけど君の名前さえわからない。

どこにも行けないかもしれない。誰にもつなげないかもしれない。でも、だから何だ。今はここにある。

明日がどうしてなんだとても遠い。
無性に海が見たくなる。
テレビをつけると昔の映画が恋をしている。


明日と今日は夢で結ばれていた
神話にはそう書かれている。
だけどさあとみんなが言う。何一つ肯定なんかしない。

どこにも行けないかもしれない、君に会えないかもしれない。でも、だから何だ。僕は君を目指す。

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詩「ここにいてはいけない」 [詩]

ここにいてはいけない    高平 九

ここにいてはいけない
ここは鋭利な二等辺三角形の頂点だから
ほんのわずかな体重移動で
それが心ない友人のひと言による心のゆらぎでも
夏のそよりと戦ぐ微風であっても
人は転落を免れない。

ここにいてはいけない
この場所に立つだけてあなたは嫉みの対象となる
アイドルのように蔑まれ
資産家のように泥まみれになり
高く飛ぶ鳥のように罵倒される
あなたを切りとる強烈なスポットライトで
毒いろに染め上げられてしまう。

ここにいてはいけない
そもそもここはあなたの場所ではない
あなたはその無垢な手で
彼をここから突き落としたばかりじゃないか
彼のぬくもりは掌に深く刻まれて
拭っても洗っても削っても消えたりしないのだから。

ここにいてもいいよという手口に耳を貸してはいけない
あの人はあなたにささやくことをやめない
あの手はあなたのポケットを探っている
そして、誰もが濡れた手であなたに触れようとしている
この世のメモ帳から有能な消しゴムはあなたを消している
今日も明日も。

ここにいてはいけない
かつてあなたの中で叫んでいた青臭い虫はもういない
あなたの尻ぬぐいをする笑顔たちは
透明なゴミ箱の中でもがいている
近くで見る山は複雑で面倒でぬかるんでいるのに
遠くで見る山はあんなにも青く切ない
あなたはもうあの場所に帰れない。

なので、あなたは
ここにいてはならない。


異郷のぞみし-空也十番勝負 青春篇 (双葉文庫)

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  • 作者: 佐伯 泰英
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 文庫





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詩 夢ひと夜 [詩]

夢を見た。
N子が仲間と岩盤浴に行った。そこが気に入ったから来いという。
行ってみると、そこは岩だらけの谷間。多くの人が家族や女性、男性同士のグループで来ていて、それぞれ和んでいる。N子が水着、それも黒に白い模様の入ったビキニでやってくる。
着いて行くが、いつものようにすぐにはぐれてしまう。四つ辻で待っているとN子が遠くに立って手を振っているのが見えた。

連れて行かれたのは、たくさんの木製の円いテーブルがぎっしりと置かれた場所。野天のようだ。
テーブルの周りには、これも隙間なく人々が姿勢正しく腰掛けている。澄まして無表情な人もいれば、笑顔の人もいる。怒っている人や悲しそうな人は、不思議とひとりもいない。話しかけたり、互いを見たりしない。まるで、自分しかそこにいないかのように静かに座っている。
目を凝らして見ると、T先生のほほ笑んだ顔が見える。
「最近、お会いしていないが、ああそうだったのか……」と思う。

小さな土産物屋もある。女将が何かつぶやいたが、顔も口元も、しゃべった内容も覚えていない。土産物はすべて白く干からびた野菜ばかりだ。

いつの間にか、木造りの長細い部屋に来た。目の前には、時代を吸って黒ずんだ木の扉がずらりと並んでいる。まるで昔の厠だ。そのどれかを開けて入れいうことのようだ。
私はちょうど真ん中あたりにある、木目のぎっしりと詰まった扉の、引き手の四角い穴に三本の指をかけた。

詩 恋ということ [詩]

恋 ということ  高平九

やわらかな若葉のひかりを浴びて
二人は 見つめ合う
二人は うなづきあい
そして二人は 笑い合う

強い日差しを避けるように
あるいは人の視線からはぐれるように
男と女は涼やかな木陰に入る
ひとりが 何かを語りはじめ
もうひとりが 足下を見つめる

女と男がふたたび光の中に現れたとき
風に向かって強い意思を伝えようとする人

雲を仰いで雨をおそれる人

立っている


詩2題 [詩]




子育てについて     高平 九

わたしの子育ては間違いだらけ
もっと絵本を読んでやればよかった
もっとクラシックを聴かせてやればよかった
もっと積み木や段ボールを与えて創造的な遊びをさせればよかった
テレビなんか見せるんじゃなかった
「となりのトトロ」をくりかえし見せれば大人しくしていたけど、宮﨑さんも言っている
「わたしの作品なんか一度見れば十分。それより本物を見につれていってください」
今思えばなんで自転車の乗り方ぐらい教えなかったのか
食べ物の好き嫌いもずいぶんあるし
グローブを買ってもキャッチボールをしたのは一度きり
サッカーもろくにできない

でも、いやだからこそわたしの子は優しい
わたしの子は美しい歌をつくり、うつくしい声で歌う
そして、勝手にステキな若者になった
わたしの密かな願いのように大道芸人にはならなかったが
やがて何かになるだろう
それでいい。
何か文句がありますか?


おらの戦争   

おら、戦(いくさ)にゃいかねえ
人をぶっ殺すのも人にぶっ殺されるのも嫌だ
おら、お国のために死ぬなんてわかんねえもの
お父(とう)のような百姓になって毎日野良で汗みどろではたらく
そのうち嫁っこもらったら 2人して土まみれになって笑い合う
お父もお母もいつか死ぬべ
でも 弾に当たったり爆弾で吹っとばされて死なせんのはまっぴらだ
あったけえ布団の上 いやそれよりか
日よりのええ日に野良で働きながら さっきまで元気にくだらねえことしゃべってた
と思ったら、死んでた
そんなんがええなあ
どっちみち 兵隊にとられんのはおらたちみてえな貧乏人と相場が決まってんだべ
お役人や金持ちの子は後方支援とかいって弾の飛んでこねえとこさいて
すべて終わってから「命がけでお国に奉公した」なんて言うんだべ
お天頭さまあええなあ だれも平等に照らしてける
お上っつうのが照らすのはいつも一部のお偉方だ
そんなもののために命かけんのは金輪際いやだ
だからよ おめえも戦なんていくな
母ちゃん泣くべ
姉ちゃん泣くべ
だからよお……


タグ: 子育て 戦争

詩 卒業のソネット [詩]

卒業のソネット     高平 九

くたびれた上靴が 今日だけはおとなしく並んで
壇上のあなたの背中を見つめている
あなたは年寄りの繰り言のようなことばを
長々とつむいでいた

青春をまき散らしたフロア 今日はなんのにおいもしない
ボールが弾ける音もない
私は思わず透明なスコアボードを見た
この3年間の試合にわたしは勝ちを得たのだろうか

鋭く響く試合終了のホイッスルを聴いたように
あなたの背中がふいに震える
優しい歌がはじまり 雨の音がそれに重なる

桜は散ってしまうだろう
笑顔で卒業証書を振り上げながら
わたしたちは雨の中に飛び出してゆく

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詩(五編) [詩]

久しぶりに詩を読んでください。

詩(五編)



からだを寄せ合うより
こころを寄せ合う方が
大きくて
あたたかい。
だから この家は
いつも満点だ。



ひとりは
こころの根っこを
太くする。
いつか 遠くにある
何かにむかって
枝を伸ばすための
今の孤独(ひとり)だ。



真剣に云えば云うほど
言葉は硬(こわ)くなる。
だから
軽く云っちゃえ
好きだなんて。



ゆふべも 夢の中で
ぼくは 人を殺した。
こんな風に
本当の僕は いつも
現実より ひとまわり
危険だ。



愛してるなんて
云ってしまうと 心が
空っぽになりそうで
だから ぢっとがまんする
愛が熟して
どおん と落ちるまで。

(2008年作)

拙い詩を読んでいただきありがとう。
どんなことも誰かの役に立つことを信じて
恥ずかしながら掲載してみました。
あなたの明日が今日より
輝いていますように。


あの日に帰ろう [詩]

あの日に帰ろう    高平 九

あの日に帰りたいな
転勤のための掃除をしながら
同僚が言った。
あの日はいつがいい。
俺が契約を取れなかった前の日なんかどうかな
それとも震災の前かい
それとも、あの人が砂漠で撃たれた日か。
それはどうだろう
戻ったとしても僕たちに何ができる。

じゃああたしが生まれる前は
夕食の席でお前が言った。
それならあたしもやり直せるし
お前がぽつりと言った本心。
でもね
妻が言う
そうだな
父が言う
どんなにうまくいかなくても
お前は今のお前である以上に
美しくも優しくもないはずだから
そう
自慢の娘だから。

夜、ベッドの中で。
君と恋に落ちる前に戻っても
また、もう一度君に出逢えるなら
それもいいな。
ほんとに?
あたしは嫌
とってもつらかったもの
あなたの気持ちが見えなかったり
あなたに捨てられたらって思ったら
生きた心地がしなかった。
それなら、今だって
君を失ったらと思うと。

抱いている女のことより、次に抱く女のことばかり考えていた
二十代か
それとも泥まみれで走りながら
一方で裸の女の妄想を追いかけ
精液をまき散らしていたハイティーンのころか
友情を叫びながら
心のナイフでいつも自分と相手をめった斬りに切り裂いていた
ローティーンのころだだというのか。
ごめんだ
あんなみじめなガキのころに戻るのはまっぴらだ。

なら
やはり子ども時代。
だれもが自分を愛するという幻想に酔い痴れていたあのころ
だれも愛する必要などなく、ただ愛されることに微笑んでいれば
世界が微笑み返してくれる。
光があふれるあのころに戻れるなら
こんなくすんだ運命に背を向けて
帰ってもいいな
あの頃に。

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はじまり [詩]

はじまり      高平 九

「困っちゃった。」行きつけの喫茶店のカウンターでふいに君は言った。
「今日、アツシ君たら『先生、人間がどこから生まれるか知ってる?』って」
 君は小四の子供の家庭教師をしていた。
「あたしが困ってるとね。『あのね、人間ってその人のいちばん綺麗なところから生まれるんだよ』だって」
 皙い指がゆっくりと髪をかきあげた。まるで千年も前からこの瞬間にそうすることが決まっていたかのように。
「かわいいのよ」
 君は珈琲茶碗を掌の中に包んで言った。
「『先生は、その髪から生まれてきたんだね』ですって、……ねっかわいいでしょ。」
 動揺していた。「僕も」言いさして急に恥ずかしくなった。小四のアツシに僕は嫉妬していた。「そう思うよ」
 君の横顔がかすかに震えながらマンデリンを啜った。二人の間を沈黙がしずかにあふれる。僕がそれに溺れそうになった時、君がスプーンで掬えそうな小さな「ありがとう」と言った。

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etc. [詩]

etc.      高平 九

ボールが一つ転がった。台風に裸にされた木々の下のベンチで、老人の細い手がそ
れを拾い上げる。「これはあんたの宝ものかい。」ボールの後を追ってきた少年に
老人は聞いた。「あんたの人生にはな、これより大切なものは二つしかない。それ
は、恋と死さ。後はすべてエトセトラだ。」「えとせとら?へんなの。」駆け去る
少年を静かな笑みが見送る。私もそれにならう。少年が父親らしい男のもとに行き
着くのを見届けてから振り返ると、いつの間にか老人の隣に寄り添う白い老婆があ
り、小さな顔が老人に頬ずりをするところだった。「待たせたわね。」はにかみな
がら、くすぐったそうに身をよじる老人。「人生に大切なものはお前だけだった。
あとは」老婆が引き継いで「エトセトラですね。」二人は声を上げて笑う。そこへ、
またボールが転がった。だが、それを拾い上げる手は、もうなかった。

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